宇宙船が爆発する。
巨大な火球が広がる。
そして、
ドカーン!!
映画ではよくありますよね。
でも実際の宇宙だったら、
その「ドカーン」、聞こえません。
……え?
あれだけ派手に爆発しているのに?
そうです。
ほぼ無音です。
宇宙、 見た目と音のギャップがすごすぎます。
そもそも「音」って何なんですか。
ここを知ると、 宇宙で音が聞こえない理由が一気に分かります。
私たちが普段聞いている音。
声。
音楽。
車の音。
雷。
全部、 周囲の物質の振動が伝わってきたものです。
たとえば人が喋ると、 声帯が振動します。
その振動が周囲の空気を押します。
押された空気が、 さらに隣の空気を押す。
それが次々と伝わって、 私たちの耳の鼓膜を振動させます。
つまり音は、何かに運んでもらわないと進めません。
空気でもいい。
水でもいい。
固体でもいい。
でも、
何もなければ運べない。
ここで宇宙の登場です。
宇宙には、音を運ぶ空気がほとんどない。
宇宙空間は、 地球上と比べると極端に物質が少ない場所です。
完全な「無」ではありません。
ガスやプラズマ、 ちりなどは存在しています。
でも、 私たちが普段経験している空気とは比べものにならないほど薄い。
そのため、
普通の音波は宇宙空間を伝わることができません。
NASAも、 音波は真空中を進めないと説明しています。
つまり、 宇宙空間で誰かが大声を出しても、
隣にいる人には聞こえません。
たとえすぐ目の前でもです。
口は動いている。
本人も叫んでいる。
でも聞こえない。
……宇宙、 静かすぎません?
爆発しても「無音」なのが一番やばい。
ここ、 想像するとかなり不思議です。
巨大な宇宙船が爆発したとします。
破片が飛び散る。
炎が広がる。
ものすごいエネルギーが放出される。
でも、 遠くから見ているあなたの耳には、
何も聞こえません。
無音。
完全に映像だけ。
これ、 映画として考えるとかなり違和感があります。
でも現実の宇宙は、 そういう世界です。
あれだけ大事件が起きているのに、静か。
逆に怖い。
いや、 怖いんですけど、
同時にめちゃくちゃ面白いんですよ。
私たちが「爆発=大音量」と感じているのは、
地球に空気があるからなんです。
普段当たり前すぎて意識しませんが、 地球ってかなり特殊な環境なんです。
じゃあ、宇宙船の中なら話せるの?
ここで疑問です。
宇宙飛行士って、 宇宙船の中では普通に会話していますよね。
なぜ聞こえるのか。
答えは簡単です。
宇宙船の中には空気があるからです。
空気がある。
だから音が伝わる。
国際宇宙ステーションの中でも同じです。
そこには人間が生活できるように空気があります。
なので、 普通に声が聞こえます。
宇宙服の中でも、 通信装置を使えば会話できます。
ただし、 宇宙服の外側へ声がそのまま飛んでいるわけではありません。
マイクが声を電気信号へ変換し、 電波として送信しています。
音そのものを宇宙へ飛ばしているわけではないんです。
でも光は普通に宇宙を飛んできます。
ここでさらに面白い話があります。
音は宇宙を進めません。
でも光は、 普通に宇宙を飛んできます。
太陽の光も、 遠い星の光も、 銀河の光も、 地球まで届きます。
なぜ?
音と光は、 そもそも違う種類の波だからです。
音は、 物質の振動です。
一方で光は、 電磁波です。
電磁波は、 空気のような物質がなくても進むことができます。
だから私たちは、音の聞こえない宇宙を「見る」ことができます。
これ、 かなり不思議じゃないですか。
目には見える。
でも耳には聞こえない。
宇宙は巨大な無声映画みたいなものです。
ところが「宇宙の音」がNASAから公開されています。
ここで、 話がちょっとややこしくなります。
YouTubeなどで、
「NASAが公開したブラックホールの音」
みたいなものを聞いたことがある人もいると思います。
さっき、 宇宙では音が伝わらないって言いましたよね。
なのに、 ブラックホールの音?
どういうこと?
宇宙、さっそく話を複雑にしてきます。
実は、 宇宙のすべてが完全な真空ではありません。
たとえば銀河団の中には、 大量の高温ガスがあります。
ガスがあるなら、 そこには圧力波が伝わることがあります。
NASAは、 ペルセウス座銀河団の中心にあるブラックホール周辺で確認された圧力波を、 人間が聞こえる音域へ変換して公開しています。
つまり「本当に波はある」。でもそのまま人間の耳で聞いているわけではありません。
実際の周波数は、 人間が聞くには低すぎます。
そこでNASAは、 周波数を大幅に引き上げて、 人間が聞ける形にしています。
NASAによれば、 元の音を57〜58オクターブも高くしています。
……57オクターブ。
ピアノの話をしている場合じゃない数字です。
しかも宇宙には「プラズマの波」が飛び交っています。
さらに面白いのがここ。
宇宙は、 完全に何も起きていない静かな空間ではありません。
NASAによると、 地球の周辺や太陽系には 荷電粒子でできたプラズマがあります。
そして磁場や電場の影響を受けながら、 さまざまな波が宇宙空間を伝わっています。
これらの信号を観測し、 人間が聞こえる音へ変換すると、
宇宙が急に「音だらけ」になります。
ヒュー。
ピュー。
ザー。
鳥の鳴き声みたいな音まであります。
もちろん、 宇宙空間に立って耳で聞いているわけではありません。
でも、 宇宙で実際に起きている波の情報を 音として体験できる。
これ、めちゃくちゃワクワクしません?
「宇宙は静かです」
で終わると思ったら、
実際には電磁場やプラズマが絶えず動き回っている。
見えない世界では、 宇宙はものすごく忙しいんです。
人間の五感では、宇宙をほんの少ししか感じられない。
この話を知ると、 私はいつもこれを思います。
人間の目や耳が感じられる範囲って、
ものすごく狭いんじゃないか。
私たちは、 可視光というごく一部の光しか見えません。
耳も、 限られた周波数しか聞けません。
でも宇宙では、 X線、 ガンマ線、 電波、 赤外線、 紫外線、 プラズマ波など、
人間には直接感じられない情報が そこら中を飛び交っています。
そこで人類は、 望遠鏡や探査機を作りました。
見えないものを測る。
聞こえないものを検出する。
そして、
人間が感じられる形に変換する。
これ、 普通にすごくないですか。
宇宙そのものもすごいんですが、 それを何とか理解しようとしている人類も結構やばいです。
今回のコレやばい指数
※「コレやばい指数」は当サイト独自の表現で、 科学的な評価指標ではありません。
ということで、 今回の話をまとめます。
宇宙空間には、 音を運ぶ空気がほとんどありません。
だから、 普通の音は聞こえません。
巨大な爆発が起きても、 その音が宇宙空間を飛んできて耳に届くことはありません。
でも、
宇宙が「何も起きていない静かな場所」なわけではありません。
ガスの中を進む圧力波。
プラズマの波。
電磁波。
私たちには直接感じられない現象が、 宇宙では絶えず起きています。
そして人類は、 それを観測して、 音や画像に変換し始めています。
無音だと思っていた宇宙に、 実はこんなにたくさんの情報が飛び交っている。
……これだから宇宙は面白い。
一つ知ったと思ったら、 その奥にもう一つ世界が出てきます。
でも「静か=何もない」ではないのがもっとやばい。

