宇宙って広いですよね。
……いや。
「広い」で済ませちゃダメなんです。
本気で数字を追っていくと、 途中から笑えてきます。
まず光。
秒速約30万km。
1秒で地球を約7周半できます。
速いとかいうレベルじゃありません。
人類がどれだけ頑張って宇宙船を作っても、 比較するのが申し訳なくなるくらい速い。
その光をですよ。
1年間、休まず走らせます。
それが「1光年」です。
距離にすると、 約9兆4600億km。
9兆4600億。
km。
……待ってください。まだ「1」です。
宇宙の話、 始まったばかりです。
一番近い星まで、光で4年以上。
では、 太陽の次に近い恒星へ行きましょう。
プロキシマ・ケンタウリ。
距離は約4.25光年。
つまり、
光で約4年3か月です。
あの光ですよ。
秒速約30万km。
1秒で地球を7周半するやつです。
そいつを、
「じゃ、行ってきます」
と飛ばしても、 着くのは4年以上あと。
しかもこれ、
宇宙では「かなり近い星」です。
いや遠いだろ。
何を基準に「近い」って言ってるんですか宇宙は。
太陽系を出ても、まだ銀河の中です。
じゃあ今度は、 私たちが住んでいる天の川銀河を見ます。
直径は、 およそ10万光年。
10万光年です。
光を銀河の端から飛ばします。
反対側に着くまで、
10万年。
10万年ですよ?
「ちょっと銀河の向こう側見てくるわ」
と光が出発しても、 人類文明が始まって終わって、 まだ到着していないレベルです。
しかも天の川銀河には、 およそ1000億〜4000億個もの星があると考えられています。
太陽はその中の1個。
地球はその太陽の周りを回る惑星。
つまり私たちは、
何千億個もある星のうち1個の、その周りにいる。
くらいの存在です。
だいぶ小さくなってきました。
でも、 まだ銀河1個です。
ここで終わらないのが宇宙です。
隣の大銀河まで、約250万光年。
天の川銀河の外へ出ます。
比較的近くにある大きな銀河、 アンドロメダ銀河。
距離、 約250万光年。
近い銀河です。
「近い」で250万光年です。
もう近いという言葉の意味を変えた方がいい。
今夜、 アンドロメダ銀河を見たとします。
その光は、 約250万年前に向こうを出発した光です。
つまり私たちが見ているアンドロメダ銀河は、
現在の姿ではありません。
約250万年前の姿です。
遠くを見るということは、 昔を見ることでもあります。
これ、 普通に考えるとかなりすごいですよね。
宇宙望遠鏡は、 遠くを見るほど過去を見ています。
距離と時間が、 完全にセットになっている。
銀河が何千億個もある。
ではここで、 もう一段階スケールを上げます。
さっきまで、
「天の川銀河には星が何千億個もある」
という話をしていました。
それだけでも相当なんですが、
今度はその「銀河」が大量にあります。
星ではありません。
銀河です。
天の川銀河みたいに、 何千億個もの星を抱えている巨大な集団が、 宇宙には途方もない数あります。
もう数え方がおかしい。
「星が多いですね」
という段階は、 とっくに終わっています。
今は、
「何千億個の星を持つ銀河が、さらに大量にある」
という話です。
単位が一段階バグっています。
観測可能な宇宙、直径約920億光年。
じゃあ、 私たちはどこまで見えるのか。
ここで出てくるのが、 観測可能な宇宙です。
その直径。
約920億光年。
920億。
光年。
1光年だけでも、 約9兆4600億kmでした。
それが920億個ぶん。
もうkmに直すのはやめましょう。
数字への嫌がらせです。
しかもここで、 ちょっと意味不明なことが起きます。
宇宙の年齢は、 およそ138億年です。
なのに、 観測可能な宇宙の直径は約920億光年。
「138億年しか経ってないなら、 光も138億光年くらいまでしか行けないんじゃないの?」
と思いますよね。
私もそう思います。
でも宇宙は、 そんな簡単ではありません。
光がこちらへ進んでいる間にも、
宇宙そのものが膨張していました。
空間自体が伸びています。
道路を走っている間に、 道路そのものが伸びているようなものです。
もう距離の測り方まで普通ではありません。
宇宙、計算させる気あります?
そして920億光年で終わりじゃない。
ここが一番やばいです。
約920億光年。
ものすごく広いですよね。
「じゃあ、それが宇宙の大きさなんだ」
と思いたくなります。
違います。
それは「私たちが観測できる範囲」です。
宇宙全体の大きさではありません。
……え?
ちょっと待ってください。
920億光年見えてるんですよ?
それでも、
「そこまでしか見えていません」
なんです。
その外側に、 さらに宇宙が続いている可能性があります。
どれくらい?
分かりません。
有限?
分かりません。
無限?
それも分かりません。
920億光年見えて、それでも全体像が分からない。
もう無理です。
宇宙の「端」があるかどうかも分からない。
ここまで来ると、 誰でも思います。
「じゃあ宇宙の端まで行ったら、 その先はどうなってるの?」
壁?
真っ暗?
何もない?
実は、
その質問自体が正しいとは限りません。
例えば地球の表面。
面積は有限です。
でも地面をずっと歩いても、
「ここから先は地球ではありません」
という端には着きません。
一周して戻ってきます。
宇宙も、 もっと高次元的な構造によって、 有限なのに端がない可能性があります。
一方で、 本当に無限に広がっている可能性もあります。
今のところ、 宇宙全体の形や大きさは確定していません。
人類、まだ地図すら完成していません。
しかも私たちは、その中の点以下です。
少し視点を戻します。
地球。
直径約1万2700km。
普段の生活では、 これでも十分巨大です。
東京から海外へ行くだけでも、 遠いと感じます。
でも宇宙のスケールに置くと、 地球はほぼ見えません。
太陽系を小さく描けば地球が消え、
天の川銀河を描けば太陽系が消え、
銀河団を描けば天の川銀河が消え、
観測可能な宇宙を描けば、 全部まとめてほぼ点です。
その点の中に、私たち全員います。
会社も、 家も、 道路も、 海も、 国境も、 悩みも、 全部そこです。
こういう数字を見ると、 ちょっと変な気分になります。
宇宙、 広すぎます。
今回のコレやばい指数
※「コレやばい指数」は当サイト独自の表現で、 科学的な評価指標ではありません。
ということで、 今回の数字をもう一度並べます。
1光年。
約9兆4600億km。
隣の恒星まで、 約4.25光年。
天の川銀河、 約10万光年。
アンドロメダ銀河まで、 約250万光年。
観測可能な宇宙、 直径約920億光年。
そして、
その外側がどれだけあるのかは、まだ分からない。
……もう「広い」では足りません。
人間の頭は、 たぶんこのスケールを本当に理解するようにはできていません。
でも、
だから面白い。
想像できないほど巨大な空間に、 地球が浮かんでいて、
その地球の上で、 私たちは今この宇宙を調べています。
それも十分やばい。
というか、やばいなんてもんじゃない。

