星って、 ずっと静かに光っているように見えますよね。
何億年、 何十億年という時間をかけて、
ゆっくり生まれて、 ゆっくり燃えて、 最後は静かに消えていく。
……と思いたいんですが。
一部の星は、最後にとんでもないことをします。
超新星爆発。
英語では、 Supernova。
巨大な星が、 寿命の最後に起こす超巨大爆発です。
どのくらいやばいのか。
NASAによると、 一部の超新星は、
一瞬だけ、星1個なのに銀河全体より明るくなることがあります。
……星1個ですよ?
銀河には、 何千億個もの星があります。
その全部をまとめた明るさより、
たった1個の星の最期の方が明るくなる。
星、 最後に本気出しすぎです。
そもそも、なぜ星が爆発するの?
超新星にはいくつか種類があります。
今回は、 大質量星が最後に起こす コア崩壊型超新星 を中心に見ていきます。
巨大な星は、 中心部で核融合を起こし続けています。
水素。
ヘリウム。
炭素。
酸素。
さらに重い元素へ。
どんどん燃料を変えながら、 エネルギーを作ります。
このエネルギーが、 星を外側へ押し広げようとします。
一方で、 巨大な星自身の重力は、
内側へ潰そうとします。
星はずっと、「外へ押す力」と「内へ潰す力」で踏ん張っています。
そして最後に、 大きな問題が起きます。
中心に鉄がたまります。
鉄まで来ると、星はもう稼げない。
ここがめちゃくちゃ面白いです。
星は核融合によって、 エネルギーを生み出しています。
でも、 鉄より重い元素を普通の核融合で作ろうとすると、
今度はエネルギーを使わないといけません。
つまり、 鉄まで来ると、
星のエネルギー生産ラインが止まります。
これまで何百万年、 何千万年と、
重力に負けないように踏ん張っていた星が、 突然支えを失います。
すると、
中心部が一気に崩壊します。
巨大な星の中心が、 自分自身の重力に耐えられなくなる。
外側の物質も、 中心へ向かって猛烈に落ち込みます。
そして、
星の人生が、一気に数秒単位の世界へ入ります。
何百万年も生きてきた星の最期が、 あまりにも急です。
星の外側が、宇宙へ吹き飛びます。
コアが崩壊すると、 星の内部で激しい現象が起こります。
そして、 星の外層が猛烈な勢いで吹き飛ばされます。
これが超新星爆発です。
爆発した星の物質は、 宇宙空間へ広がっていきます。
NASAは、 その残骸を 超新星残骸 として何千年にもわたって観測できると説明しています。
つまり、 爆発自体は一瞬でも、
宇宙には爆発の跡が長く残ります。
巨大なガスの殻。
衝撃波。
高温のプラズマ。
そこからX線や電波などが放たれます。
星が消えたあとも、
「ここで何かとんでもないことが起きた」
という痕跡が残り続けるんです。
そして、星1個が銀河より明るくなる。
ここ、 何度考えてもおかしいです。
銀河。
例えば天の川銀河には、 数千億個もの星があります。
その中の、
たった1個の星。
その1個が爆発した瞬間、
銀河全体より明るく見えることがあります。
……ちょっと待ってください。
数千億対1ですよ?
普通なら勝負になりません。
なのに、
最後の一発だけで全部を上回る。
超新星、 スケールがおかしいです。
でも、本当にやばいのは「明るさ」だけじゃない。
派手なので、 どうしても爆発の明るさに目がいきます。
でも、 超新星の本当に重要なところは、
宇宙へ元素をばらまくことです。
星の内部では、 長い時間をかけて、 さまざまな元素が作られます。
炭素。
酸素。
ケイ素。
鉄。
そして星が爆発すると、 それらが宇宙空間へ放出されます。
NASAは、 私たちの体や地球を構成する多くの元素が、 過去の世代の星で作られ、 恒星風や超新星爆発によって宇宙へ運ばれたと説明しています。
つまり、星の最期が次の世界の材料になります。
これ、 めちゃくちゃ好きな話です。
私たちの体も、昔の星から来ています。
例えば、 私たちの体にある炭素。
呼吸に必要な酸素。
血液に含まれる鉄。
骨に関係する元素。
これらの多くは、 宇宙の最初から全部そろっていたわけではありません。
星の内部で作られ、
星が終わりを迎えたときに、 宇宙へ放出されました。
その物質がまた集まって、
新しい星。
惑星。
そして地球。
最終的に、 私たちにつながっています。
つまり私たちの体には、昔の星の材料が入っています。
比喩ではありません。
NASAも、 「私たちは星の物質でできている」という表現は、 文字通りの意味で正しいと説明しています。
あなたの体の一部は、昔どこかの星の中にありました。
……これ、 すごくないですか。
急に宇宙が遠い場所じゃなくなります。
星が爆発しなかったら、地球もかなり違った。
もし宇宙で、 星が作った元素を外へ出す仕組みがなかったら。
新しい星や惑星の材料は、 今とはかなり違ったはずです。
鉄。
ケイ素。
酸素。
カルシウム。
その他、 私たちが当たり前に使っている元素。
宇宙では、
星が生まれる → 元素を作る → 死ぬ → 宇宙へ返す
という循環が起きています。
そしてその材料から、 次の世代が生まれる。
超新星は「破壊」だけじゃなく、「次の宇宙を作るイベント」でもあります。
この辺が、 ただ怖いだけで終わらないんです。
むしろ、 めちゃくちゃロマンがあります。
爆発したあと、中心には何が残る?
では、 星の中心部はどうなるのか。
これもやばいです。
崩壊した中心核の質量などによって、
中性子星が残ることがあります。
以前の記事で紹介した、 都市サイズなのに太陽級の質量を持つ天体です。
さらに条件によっては、
ブラックホールになる場合もあります。
つまり、
巨大な恒星
↓
超新星爆発
↓
中性子星またはブラックホール
という流れがあり得ます。
星の死から、宇宙最強クラスの天体が生まれます。
展開が激しすぎます。
1987年、人類は超新星の「ニュートリノ」まで捕まえた。
超新星を知るうえで、 ものすごく重要な出来事があります。
SN 1987A。
1987年、 大マゼラン雲で起きた超新星です。
地球からの距離は、 約16万光年。
NASAによると、 可視光で超新星が観測される約2時間前、
複数の観測所がニュートリノのバーストを検出しました。
ニュートリノは、 物質とほとんど反応しない非常に特殊な粒子です。
それが、 星の中心崩壊から飛び出してきた。
人類は、16万光年先で星が崩壊した内部の情報を受け取ったんです。
もう、 観測技術までやばい。
宇宙で起きた爆発を見るだけじゃなく、 内部から飛び出した粒子まで捕まえています。
人類、 かなり頑張っています。
でも、超新星は毎日見られるわけじゃない。
これだけ派手なら、 空を見ればしょっちゅう見えそうですよね。
でも、 天の川銀河の中で肉眼で見える超新星は、 非常に珍しい出来事です。
有名なのが、 1054年に観測された超新星。
その残骸が、 現在のかに星雲です。
そして1604年には、 ケプラーの超新星が観測されました。
それ以降、 天の川銀河で肉眼ではっきり見える超新星は観測されていません。
でも、 宇宙全体を見れば、
遠くの銀河では今も超新星が次々と起きています。
私たちがたまたま、 近くで見ていないだけです。
次に近くで起きたら、ものすごい研究チャンスになる。
もし天の川銀河で、 比較的近い超新星が起きたら。
天文学者にとっては、 とんでもないイベントです。
可視光。
X線。
ガンマ線。
電波。
ニュートリノ。
場合によっては重力波。
さまざまな方法で、 星が崩壊する瞬間を観測できる可能性があります。
星の最期をリアルタイムで詳しく見るチャンスです。
宇宙の仕組みを理解するうえで、 ものすごいデータが得られるかもしれません。
怖い。でも見たい。
この感覚、 宇宙好きなら分かると思います。
超新星は、「死」なのに終わりじゃない。
ここが、 私は一番好きです。
超新星爆発は、 星の死です。
巨大な星が、 最後に崩壊して吹き飛びます。
でも、
そこで終わりではありません。
吹き飛んだ元素が、 次の星や惑星の材料になる。
中心には、 中性子星やブラックホールが残る。
爆発の衝撃波が、 周囲の宇宙環境へ影響を与える。
つまり、
星の死が、次の宇宙の始まりにつながっています。
破壊なのに、 創造でもある。
……宇宙、 こういうところが本当に面白いです。
今回のコレやばい指数
※「コレやばい指数」は当サイト独自の表現で、 科学的な評価指標ではありません。
今回の話をまとめます。
大質量星の一部は、 最後に中心核が崩壊します。
そして、 超新星爆発を起こします。
その輝きは、 一時的に銀河全体を上回ることもある。
星の内部で作られた元素は、 宇宙へばらまかれる。
そしてその材料から、 また新しい星や惑星が作られます。
私たちの体にある元素も、
過去の星たちの歴史とつながっています。
そう考えると、 夜空の星がちょっと違って見えませんか。
あの星も、 いつか終わります。
でも、 その終わりが、 また別の何かの始まりになるかもしれない。
怖い。
派手。
意味が分からないくらい巨大。
でも、
それ以上に、めちゃくちゃ面白い。
これだから宇宙はやめられません。
星は最後に爆発して、次の宇宙の材料を残す。

