白色矮星がやばい!地球サイズなのに太陽級の質量ってどういうこと?

地球くらいの大きさの天体があります。

ここまでは別にいいです。

問題は、 その中に入っている質量です。

太陽級。

……待ってください。

地球サイズですよ?

太陽は地球より直径が約100倍大きく、 質量は地球の33万倍以上あります。

その太陽クラスの質量を、

地球くらいのサイズまで押し込んだ天体があります。

それが、 白色矮星です。

宇宙、 また圧縮の加減を間違えています。

白色矮星って、そもそも何?

白色矮星は、 星の一生の最後に残る 恒星の中心核です。

太陽くらいの質量を持つ星は、 ずっと今の姿で光り続けるわけではありません。

中心の水素を使いながら光り、 やがて燃料の状態が変わっていきます。

そして将来、 赤色巨星という巨大な姿になります。

その後、 外側のガスを宇宙空間へ放出。

最後に残るのが、

むき出しになった高密度の中心核。

これが白色矮星です。

星が死んだあとに残る「芯」みたいなものです。

しかも太陽も、最終的にはこれになる。

白色矮星というと、 ものすごく特殊な星に聞こえます。

でも実は、 かなり身近です。

NASAによると、 太陽はあとおよそ50億年ほど主系列星として進化し、 最終的には白色矮星になると考えられています。

つまり未来の太陽です。

私たちが毎日見ている太陽。

直径約140万km。

地球が約130万個入る巨大な星。

それが最終的には、

地球くらいのサイズまで小さくなる。

いや、 縮みすぎです。

今の太陽を見ていると、 とても同じ天体の未来とは思えません。

大きさ 地球程度 白色矮星は非常に小さい恒星残骸
質量 太陽級 多くは太陽質量のかなりの割合を保持
正体 星の残骸 外層を失った恒星の中心核

地球サイズに太陽級。じゃあ中身どうなってるの?

当然、 とんでもなく高密度です。

NASAは、 白色矮星について、

ティースプーン1杯ほどの物質でも、 大型車より重くなるほど高密度

だと説明しています。

スプーン一杯ですよ。

「白色矮星を少し持って帰ろう」 みたいなことはできません。

テーブルに置いた時点で、 テーブルどころの話ではなくなります。

NASAの教材では、 典型的な白色矮星を地球サイズ・太陽質量ほどとした場合、 密度はおよそ

1立方センチメートルあたり約2トン

にもなる計算例が示されています。

角砂糖くらいの体積で、 数トン級。

砂糖入れの重さじゃないです。

どうしてそんなに潰れているの?

普通の星は、 重力で内側へ潰れようとしています。

一方、 中心では核融合が起きています。

そのエネルギーによる圧力が外向きに働く。

つまり、

内向きの重力。

外向きの圧力。

このバランスで星は保たれています。

ところが白色矮星では、 通常の核融合によるエネルギー生産は基本的に終わっています。

じゃあ、

重力でそのまま潰れ続けないの?

という疑問が出ます。

ここで登場するのが、 電子の縮退圧です。

「これ以上詰めるな」という量子力学。

白色矮星を支えている主役は、 普通のガス圧ではありません。

量子力学です。

電子には、 同じ量子状態を好き放題共有できないという性質があります。

物質をものすごく強く圧縮すると、 電子たちは、

「これ以上同じ場所には詰められません」

というような状態になります。

このとき生まれる抵抗が、 電子の縮退圧です。

重力は、 もっと縮めようとする。

電子は、 これ以上は無理だと抵抗する。

白色矮星は、量子力学が重力と直接ケンカしている天体です。

急に話のスケールが、 星から量子力学になりました。

宇宙、 話題の振れ幅がおかしいです。

白色矮星は、もう「燃えている星」ではない。

ここも面白いところです。

白色矮星は明るく見えます。

名前も「白色」です。

なので、

まだ激しく核融合しているように感じます。

でも、 基本的にはそうではありません。

NASAによると、 白色矮星は新しい熱を核融合で作り続けているわけではなく、

残っている熱を少しずつ宇宙へ放出しながら冷えていきます。

星としてのエンジンは、 ほぼ止まっている。

でも、 ものすごく熱い芯が残っている。

巨大な「星の余熱」です。

そして冷えるのに、ものすごく時間がかかる。

白色矮星は小さいですが、 中身は非常に高温です。

その熱を、 長い時間をかけて放出していきます。

何年?

何万年?

そんな話ではありません。

何十億年という時間をかけて冷えていきます。

宇宙では、 冷めるだけでもスケールがおかしいです。

そして理論上、 十分長い時間が経つと、 ほとんど光らない 黒色矮星 になると考えられています。

ただし、

宇宙はまだそこまで長く存在していません。

つまり、 黒色矮星は理論上の存在で、 今の宇宙にはまだできていないと考えられています。

未来にしか存在しない星。

こういう話、 たまりません。

しかも白色矮星には、重くなれる限界があります。

ここから、 さらに面白くなります。

白色矮星は、 いくらでも質量を増やせるわけではありません。

ある限界を超えると、 電子の縮退圧だけでは重力を支えられなくなります。

有名なのが、

チャンドラセカール限界。

およそ太陽質量の1.4倍付近です。

そこに近づくと、 白色矮星の運命は一気に危険になります。

「小さいけど重い」には、ちゃんと限界があるんです。

連星だと、さらに事件が起きる。

宇宙では、 星が2つで互いの周りを回る 連星 は珍しくありません。

もし白色矮星の近くに別の星があると、

相手の星から物質を奪うことがあります。

ガスが白色矮星へ落ちていく。

質量が増える。

表面で爆発的な現象が起きる場合もある。

さらに条件によっては、

Ia型超新星につながる可能性があります。

つまり、 静かに冷えていくだけのはずだった星の残骸が、

相棒がいるだけで突然とんでもない事件を起こすことがあります。

白色矮星、 見た目以上に油断できません。

重力も当然、とんでもない。

地球サイズに、 太陽級の質量。

当然ですが、 表面重力は非常に強くなります。

その重力は、 光にまで影響します。

白色矮星から出た光は、 強い重力場から抜け出すときにエネルギーを失い、

重力赤方偏移

を起こします。

つまり、 白色矮星の光そのものに、

「ここ、とんでもない重力でした」

という情報が刻まれます。

天文学者は、 こうした性質も使って白色矮星を研究します。

ハッブルは、単独の白色矮星の質量まで測った。

2023年には、 NASAのハッブル宇宙望遠鏡を使った研究で、

単独で存在する白色矮星の質量が、 重力マイクロレンズ効果を利用して直接測定されました。

対象は、 LAWD 37。

測定された質量は、

太陽の約56%。

それでもサイズは、 白色矮星らしく非常に小さい。

遠くの星の光が、 白色矮星の重力によってわずかに曲げられる。

そのズレを測って、 星の重さを調べる。

星を「はかり」に乗せずに重さを測っています。

人類側も、 なかなか無茶なことをやっています。

太陽の最後を考えると、ちょっと不思議です。

今の太陽は、 毎秒膨大なエネルギーを放っています。

太陽の重力で、 地球を含む惑星が公転しています。

地球上の生命も、 ほぼすべて太陽エネルギーに依存しています。

そんな星にも、 終わりがあります。

巨大な赤色巨星になり、 外側を失い、

最後には地球サイズの白色矮星が残る。

今見えている太陽と、 未来の白色矮星。

とても同じ天体とは思えません。

星にも、ちゃんと「老後」があります。

しかも、 その老後が地球サイズ・超高密度です。

小さいから、弱いわけじゃない。

宇宙では、 大きいものほどすごいと思いがちです。

巨大ブラックホール。

超巨星。

銀河。

銀河団。

確かに、 大きさのインパクトはあります。

でも白色矮星は、 真逆です。

小さい。

なのに重い。

異常に高密度。

量子力学で重力を支えている。

条件次第では、 超新星につながることすらある。

小さくなったからこそ、宇宙の極端さが濃縮されています。

星をぎゅっと絞ったら、 物理学のヤバいところだけ残りました。

今回のコレやばい指数

ヤバさ ★★★★★
密度 ★★★★★
圧縮しすぎ度 ★★★★★
未来の太陽感 ★★★★★

※「コレやばい指数」は当サイト独自の表現で、 科学的な評価指標ではありません。

今回の話をまとめます。

白色矮星は、 太陽のような星が一生を終えたあとに残る、 高密度の中心核です。

サイズは、 地球程度。

なのに、 質量は太陽級。

中の物質は、 角砂糖ほどの大きさでも数トン級になり得る。

そして普通の星とは違い、

電子の縮退圧という量子力学の効果によって、重力崩壊を食い止めています。

さらに、 質量が増えすぎると限界がある。

連星なら、 超新星につながることもある。

そして、

私たちの太陽も、いつか白色矮星になると考えられています。

今は巨大な太陽が、 未来には地球くらいのサイズになる。

その中に、 星の残骸がぎゅっと詰まっている。

……やっぱり、 星の最後まで普通じゃありません。

今回の結論 白色矮星、やっぱりやばい。
地球サイズの中に、星ひとつ分の「最後」が詰まっている。

参考・出典

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