宇宙には上下がないってやばい!「上」って結局どっち?

ちょっと今、 上を指さしてみてください。

たぶん、 空の方向を指したと思います。

では質問です。

その「上」、宇宙でも上ですか?

……違います。

というより、 宇宙全体に共通する

「こっちが上です」

という方向そのものがありません。

北極の方向でもない。

太陽の上でもない。

天の川銀河の上でもない。

宇宙には、 絶対的な上下がありません。

私たちは毎日、 何の疑いもなく 「上」「下」と言っています。

でもあれ、

ほぼ地球限定ルールです。

宇宙に出た瞬間、 常識がひとつ消えます。

そもそも「下」って何ですか。

普段は考えませんよね。

下は下です。

物を落としたら、 下へ落ちる。

人も床に立つ。

雨も下へ降る。

だから、 下という方向が宇宙にも最初から存在しているように感じます。

でも実際には、 地球でいう「下」は、

だいたい地球の中心方向です。

地球の重力が、 私たちを地球の中心へ引っ張っています。

その方向を、 私たちは「下」と呼んでいます。

逆に、 地球の中心から離れる方向が「上」。

つまり上下って、重力を基準に決めていたんです。

急に身近な言葉が、 物理学になりました。

地球での「下」 地球中心方向 重力によって決まる
宇宙全体の「上」 存在しない 絶対的な上下方向はない
宇宙船の中 便宜上決める 機器や床を基準に方向を呼ぶ

じゃあ地球の反対側の人は逆さまなの?

ここで、 子どもの頃に一度は思うやつです。

日本から見て、 地球の反対側にいる人。

逆さまじゃないんですか。

もちろん、 本人からすれば普通に立っています。

なぜなら、

その人にとっての「下」も地球の中心だからです。

日本にいる人の下。

南米にいる人の下。

方向は宇宙空間ではほぼ反対です。

でも、 どちらも本人にとっては下。

地球だけで、すでに「下」が一方向じゃありません。

これ、 改めて考えるとかなり変です。

地球上の全員が、 球体の中心へ向かって それぞれ別方向に立っています。

なのに全員、

「自分は上向きに立ってる」

と思っています。

北が「上」なのも宇宙のルールではない。

地図を見ると、 普通は北が上です。

だから、 なんとなく

北=上

南=下

という感覚になります。

でもこれも、

人間が決めた表示上の約束です。

地球を宇宙から見たとき、 北極側が本当に「上」にあるわけではありません。

宇宙船をひっくり返したら、 北極が下に見えます。

横から見れば、 北極は横です。

地球、「こっちを上にして置いてください」という指定はありません。

宇宙には棚がないので、 置き方もありません。

太陽系なら上下が決まるんじゃない?

では、 太陽系全体ならどうでしょう。

惑星の多くは、 だいたい同じ平面に近いところを公転しています。

この基準面を使えば、

太陽系の「上側」

「下側」

のような表現はできます。

でも、 ここが大事です。

それは太陽系を基準にした上下です。

宇宙全体の絶対的な上ではありません。

太陽系を丸ごとひっくり返して考えても、 物理法則は困りません。

「北側」 「南側」 などと名前を付けることはできます。

でもそれは、

場所を説明するために人間が座標軸を作っているだけです。

天の川銀河にも「上」はない。

ではさらに大きく、 天の川銀河。

天の川銀河は、 円盤状の構造を持っています。

だから、 銀河面に対して

上側。

下側。

という説明はできます。

でも、 やっぱりそれも局所ルールです。

別の銀河は、 全然違う角度で傾いています。

私たちから見ると、 横向きの銀河もあれば、 斜めの銀河もある。

宇宙中の銀河が、同じ向きにきれいに並んでいるわけではありません。

宇宙、収納する気ゼロです。

では宇宙全体に「基準方向」はあるの?

ここまで来ると、 ちょっと気になります。

宇宙全体で見たら、

「実はこっちが特別な方向です」

みたいなものがあるのでは?

現在の宇宙論では、 非常に大きなスケールで見ると、 宇宙はおおむね

どの方向も特別ではない

と考えられています。

これを、 等方性 と呼びます。

もちろん、 近くを見れば偏りはあります。

こちらに天の川銀河がある。

あちらに銀河団がある。

別方向には巨大な空洞がある。

局所的には、 宇宙は全然均一ではありません。

でも、 ものすごく大きなスケールで平均すると、

「宇宙のこっち側だけ特別に上です」

というような方向は見つかっていません。

宇宙飛行士が浮いているのは「重力がない」から?

宇宙の上下の話をすると、 ここもよく混乱します。

国際宇宙ステーションの映像。

宇宙飛行士が、 ふわふわ浮いています。

そこで、

「宇宙だから重力がない」

と思いがちです。

でも、

ISS付近にも地球の重力はかなりあります。

地球から数百km程度の高度では、 重力は突然ゼロにはなりません。

ではなぜ浮くのか。

ISSも宇宙飛行士も、

一緒に地球へ落ち続けているからです。

え?

落ちてる?

落ちています。

ISSは「地球に落ち続けている」。

ISSはものすごい速度で、 横方向へ飛んでいます。

重力によって、 地球へ向かって落ちる。

でもその間に、 地球の表面も丸く曲がっていく。

結果、

落ちても落ちても地面に当たらない。

これが軌道運動です。

ISS。

宇宙飛行士。

中に浮いている物。

全部まとめて落下しています。

だから、 床だけが身体を押し返す状態にならない。

その結果、 浮いて見えます。

宇宙ステーション、「飛んでいる」というより「永遠に外し続ける落下」です。

宇宙、 説明の仕方まで変です。

じゃあISSの中にも上下はないの?

物理的な意味では、 地上ほどはっきりした上下はありません。

宇宙飛行士は、 天井側へ頭を向けても問題ありません。

壁に足を向けてもいい。

床に対して逆さまでも、

本人は別に落ちません。

ただし、 宇宙船の中では仕事をする必要があります。

なので、

こちらが床。

こちらが天井。

こちらが前。

こちらが後ろ。

という向きを、 便宜上決めます。

上下が存在するというより、上下を作るんです。

宇宙船の写真が「正しい向き」に見えるのも人間都合。

宇宙の写真を見ると、 なんとなく普通の向きがあります。

地球が下。

宇宙船が上。

惑星がきれいな向き。

でも、 撮影した画像を180度回転させても、

宇宙そのものは何も変わりません。

私たちが見やすいように、 向きを調整している場合があります。

宇宙写真に

「この向きで見るのが自然」

と感じること自体、 地球の重力に慣れた脳の影響です。

宇宙には画像回転禁止マークはありません。

上下がないと、人間はけっこう混乱する。

宇宙飛行士は、 無重量環境で方向感覚に戸惑うことがあります。

地球では、 耳の中にある前庭器官や、 目から入る情報、 足裏の圧力などを使って、

「自分はいまどっちを向いている」

と判断しています。

でも、 微小重力環境では、

「下へ引っ張られている」という強力な手掛かりが弱くなります。

すると、 目で見た情報の重要性が増えます。

宇宙船内部の配置も、 人間が方向を理解しやすいように設計されます。

物理学的には上下がなくても、

人間の脳は上下を欲しがります。

地球生活が長すぎました。

無重力じゃなくて「微小重力」と呼ぶ理由。

宇宙ステーションなどの環境は、 よく

「無重力」

と言われます。

でも、 より正確には 微小重力 と表現されることがあります。

完全に重力が消えているわけではありません。

むしろ、 地球の重力があるからISSは地球を回れています。

そして、 ISS全体が自由落下しているため、

中では重さを感じにくい状態になります。

重力がある。

なのに浮く。

ここでも普段の感覚が役に立ちません。

でも月や惑星に降りたら、また「下」が復活する。

宇宙に上下がないといっても、

どこでも上下が完全に消えるわけではありません。

たとえば月面。

月にも重力があります。

だから、 月の中心方向がその場での「下」になります。

火星に立てば、 火星中心方向が下。

木星の近くなら、 木星の重力が強く影響します。

上下は「宇宙全体」で決まっているのではなく、その場所の重力環境で決まります。

地球の下。

月の下。

火星の下。

全部、 方向はバラバラです。

宇宙には「下」が大量にあります。でも共通の「下」はありません。

太陽にとっての「下」もある。

もし太陽の表面近くに立てると仮定したら、

太陽中心方向が下です。

ブラックホールの近くでも、 重力の方向があります。

つまり、

宇宙に上下がない

という話は、

「どこにも上下が存在しない」という意味ではありません。

絶対的な上下がない、 という意味です。

ここは大事です。

宇宙では、

「何を基準にするか」で方向が決まります。

そもそも「方向」って、基準なしでは決められない。

右と左もそうです。

前と後ろもそうです。

何か基準があるから、 方向を決められます。

人間なら、 顔が向いている方が前。

車なら、 進行方向が前。

地球なら、 中心方向が下。

太陽系なら、 公転面を基準に方向を決められる。

でも宇宙全体には、

床も天井も前も後ろもありません。

広大な空間に、 天体が浮いています。

私たちは必要に応じて、 座標を作っているだけです。

これは「宇宙に中心がない」という話とも少し似ています。

日常では、 物には中心があります。

部屋なら中央。

町なら中心街。

地球なら中心。

だから宇宙にも、

「中心があって、 そこを基準に上下が決まるのでは?」

と思いたくなります。

しかし標準的な宇宙論では、

宇宙膨張に特別な中心点があるとは考えません。

ビッグバンも、 宇宙のある一点で起きた普通の爆発ではありません。

空間そのものが膨張してきた、 という考え方です。

中心もない。

絶対的な上もない。

宇宙、基準点をことごとく消してきます。

人間は「自分が正しい向き」と思いすぎている。

地球の写真を見たとき、 北極が上だと安心します。

南極を上にすると、 なんとなく変に感じます。

でも、 物理的にはどちらでもいい。

アフリカが上でもいい。

太平洋が上でもいい。

横向きでもいい。

宇宙から見れば、どの向きも同じくらい正しい。

変だと感じているのは、 宇宙ではなく私たちです。

地球で何十年も上下ありの生活をしているので、しょうがないです。

宇宙に出ると「当たり前」が地球ローカルだと分かる。

これが今回、 一番面白いところです。

上。

下。

重さ。

昼。

夜。

1日。

1年。

私たちが当たり前だと思っている感覚の多くは、

地球という環境に合わせてできています。

宇宙へ出ると、 その前提が一個ずつ外れていきます。

上下がない。

毎日朝が来るとは限らない。

体重の感じ方も変わる。

時間の進み方すら完全には同じではない。

私たちが「普通」と呼んでいるもの、かなり地球限定です。

宇宙を見ると、地球の方が特殊に見えてくる。

最初は、 宇宙の方がおかしく見えます。

上下がないなんて変だ。

星が浮いているなんて変だ。

宇宙飛行士が浮くなんて変だ。

でも、 少し考えると逆です。

巨大な球体の表面に立って、

全員が別方向へ足を向けながら、

「これが下です」

と言っている地球人。

そっちの方が、宇宙から見たら特殊なのかもしれません。

私たちは地球に慣れすぎて、 地球ルールを宇宙ルールだと思っています。

宇宙を知ると、

宇宙だけじゃなく、地球の見え方まで変わるんです。

今回のコレやばい指数

ヤバさ ★★★★★
常識崩壊度 ★★★★★
方向感覚崩壊度 ★★★★★
地球ローカル度 ★★★★★

※「コレやばい指数」は当サイト独自の表現で、 科学的な評価指標ではありません。

今回の話をまとめます。

宇宙全体に、 絶対的な上や下はありません。

地球では、 重力によって地球中心方向が下になります。

月なら、 月中心方向。

火星なら、 火星中心方向。

宇宙船の中では、 必要に応じて人工的に方向を決めます。

つまり、

上下は宇宙に最初から書かれているものではなく、基準によって決まります。

そして、 北が上というのも人間の約束。

地球の写真の向きも、 絶対ではありません。

宇宙には、 床も天井もありません。

でも人間は、 どうしても上下を作りたくなる。

宇宙を知ると、「当たり前」だと思っていたものが次々と地球限定だったことに気づきます。

上ってどっち?

答えは、

「何を基準にするかによる」。

……こんな基本的な言葉まで、 宇宙へ行くと答えが変わります。

今回の結論 宇宙の上下、やっぱりやばい。
「上」と「下」が当たり前なのは、宇宙ではなく地球に慣れすぎた私たちの方だった。

参考・出典

  • NASA 「What Is Microgravity?」 ― 国際宇宙ステーションと自由落下・微小重力について
  • NASA 「International Space Station」 ― ISSの軌道・宇宙環境について
  • ESA 「Weightlessness」 ― 宇宙飛行中の無重量状態と微小重力について
  • NASA / WMAP 「Universe 101」 ― 宇宙の大規模な一様性・等方性と標準宇宙論について
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